カスタマーハラスメント(カスハラ)がエスカレートすると、業務の妨害や従業員の安全に関わる深刻な問題になることがあります。悪質なカスハラに対しては、警察の関与が必要になるケースも少なくありません。以下に、警察の関与が必要となる場面やその必要性について解説します。
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1. 警察の関与が必要なカスハラの具体例
① 脅迫・暴言・威嚇行為
- 「お前を許さない」「家に行くぞ」 などの脅迫的な発言。
- 威圧的な言動で精神的に追い詰める行為。
法律:刑法第222条(脅迫罪)
- 2年以下の懲役または30万円以下の罰金 が科される可能性があります。
② 暴力行為や器物損壊
- 直接的な暴力、物を壊す、施設内で暴れる行為。
法律:刑法第208条(暴行罪)、刑法第261条(器物損壊罪)
- 暴行罪:2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留・科料。
- 器物損壊罪:3年以下の懲役または30万円以下の罰金。
③ 業務妨害行為
- 執拗な電話や来店、虚偽のクレームにより業務を妨害する行為。
法律:刑法第233条・234条(偽計業務妨害罪・威力業務妨害罪)
- 偽計業務妨害罪・威力業務妨害罪:3年以下の懲役または50万円以下の罰金。
④ ストーカー・執拗な嫌がらせ
- 特定の従業員への個人的な執着や尾行、執拗な電話・メール。
法律:ストーカー規制法
- 悪質な場合は警察への相談により、警告・禁止命令 が発動されることがあります。
⑤ セクシャルハラスメント
- 従業員に対して性的な言動や身体接触、性的な要求を行う行為。
法律:労働施策総合推進法、刑法(強制わいせつ罪など)
- 悪質なセクハラは、法的措置や刑事罰 の対象になります。
2. 警察の関与が必要な理由
① 従業員の安全確保
カスハラがエスカレートすると、暴力や脅迫、業務妨害 に発展し、従業員の安全が脅かされる可能性があります。警察の介入によって、従業員を守ると同時に、悪質行為を抑止する効果が期待できます。
② 再発防止と抑止力
- 警察の関与や警告により、悪質な顧客に対して法的なリスクを認識させることができます。
- 「業務妨害罪」「脅迫罪」などを根拠に適切な措置を取ることで、再発防止が図れます。
③ 業務の継続と効率化
- カスハラ対応により業務が妨害される状況が続くと、組織全体の生産性が低下します。
- 警察の関与によって問題を早期解決することで、通常業務をスムーズに継続できます。
④ 法律に基づく適切な対応
- 過剰な顧客対応を続けることで、他の顧客や従業員に不公平な状況が生じる可能性があります。
- 警察と連携することで、法的根拠に基づいた公正な対応が可能です。
3. 警察に相談・通報する手順
① 具体的な証拠を残す
- 通話内容の録音、メールや手紙、被害状況の写真や動画などを証拠として残します。
- ハラスメント行為が継続している場合は、日時や内容を詳細に記録します。
② 上司や法務部門への報告
- 組織内でカスハラの状況を共有し、対応方針を確認します。
- 法務部門やコンプライアンス担当者と連携して、警察への通報の必要性を判断します。
③ 警察へ相談・通報
- 最寄りの警察署へ相談し、証拠を基に状況を説明します。
- 緊急の場合(暴力や脅迫行為)には、110番通報を行います。
警察への伝え方のポイント:
- いつ、どこで、誰が、何をされたのかを明確に伝える。
- 証拠を提示し、被害の深刻さや業務への支障を具体的に説明する。
4. 警察と連携する際の注意点
- 法的措置の基準を組織内で明確に定め、従業員がすぐに報告・相談できる仕組みを構築する。
- 「業務妨害罪」や「脅迫罪」に該当するかを事前に確認し、必要に応じて弁護士と連携する。
- 警察に相談する際は、感情的にならず冷静に事実を伝えることが重要です。
5. まとめ:警察関与の必要性
- 安全確保:従業員の身体・精神的安全を守るため。
- 業務維持:業務妨害を防ぎ、生産性を確保するため。
- 再発防止:悪質な行為に対し、法的リスクを認識させるため。
- 証拠保全:警察と連携することで、証拠を基に適切な対応が可能になる。
カスハラは時に法的問題に発展するため、組織として警察との連携や法的措置の準備が必要です。従業員が安心して業務に取り組める環境を整え、組織全体でカスハラ対策を進めることが重要です。
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