企業が実際に実践しているカスタマーハラスメント(カスハラ)への対応事例をいくつか紹介します。各社が従業員の安全と健康を守りつつ、適切に顧客対応を行うために、さまざまな取り組みを行っています。
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1. 日本郵便:対応を打ち切るルールの導入
取り組み内容
- 日本郵便では、過度なクレームや暴言が続いた場合、「これ以上の対応は致しかねます」と伝え、対応を打ち切るルールを明確にしました。
- 現場で働く従業員に対し、カスハラに耐える必要はないと伝え、上司への報告や本部へのエスカレーションを徹底しています。
- 具体的な事例やトラブル対応を社内で共有し、従業員教育に活かしています。
効果
従業員の精神的な負担が軽減され、安心して働ける環境づくりにつながりました。
2. ヤマト運輸:悪質な顧客への「出入り禁止」措置
取り組み内容
- 配達員への暴言や暴力、過度なクレームが確認された場合、その顧客には今後サービス提供をしない「出入り禁止」措置を取る方針を打ち出しました。
- 被害に遭った従業員がすぐに報告できる仕組みを整え、社内で迅速に対応しています。
効果
カスハラへの抑止効果が期待され、従業員の安全確保が強化されました。
3. イオンリテール:カスハラ対応マニュアルの作成
取り組み内容
- イオンでは、悪質な顧客対応に備えた「カスハラ対応マニュアル」を作成し、全国の店舗に導入しています。
- 暴言・暴力・不当な要求があった場合の対応フローを従業員に教育し、「毅然とした態度で対応する」姿勢を徹底しています。
- 必要に応じて上司や本社へ報告・エスカレーションできる体制を整えました。
効果
従業員が不当な要求に悩まず対応できるようになり、精神的負担が軽減されました。
4. 大手鉄道会社:警察との連携強化
取り組み内容
- 駅員や乗務員への暴力や暴言が増えたことを受け、鉄道会社では悪質なケースについては即座に警察へ通報し、法的措置を取る方針を示しています。
- 特に、駅構内のトラブルには監視カメラ映像を活用し、証拠を残すことで顧客側の不正行為を明確化。
効果
暴力や過度なクレームの抑止効果が見られ、現場の安全が保たれました。
5. コンビニ各社:本部サポートと従業員支援
取り組み内容
- 大手コンビニチェーンでは、店舗従業員がカスハラ被害を受けた際に、即座に本部へ報告できる体制を整えています。
- また、顧客とのトラブルが発生した場合の対応フローを標準化し、従業員が一人で判断せず、上司や本部がサポートする仕組みを導入しています。
効果
現場任せではなく、本部がサポートすることで従業員の負担が減少しました。
6. 厚生労働省:ガイドラインの作成と周知
取り組み内容
- 厚生労働省は企業向けに「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を策定し、ハラスメントを受けた際の適切な対処方法や、企業が取るべき対策を示しています。
- マニュアルに従い、多くの企業がカスハラ対策を明文化し、社内教育に取り入れています。
まとめ:カスハラ対策は企業文化として浸透させるべき
各企業が共通して取り組んでいるのは以下のポイントです:
- ルールやマニュアルの明確化
- エスカレーション体制の整備
- 暴力や脅迫には法的措置を検討
- 従業員の精神的・身体的安全を最優先に考える
カスハラに対しては、企業が従業員を守る姿勢を明確に示すことが、結果として健全な労働環境とサービス品質の向上につながります。
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