サッカーの試合において、審判はゲームの公正さを守る重要な役割を担います。特に小学生の試合では、プレイヤーがルールを正しく理解し、試合がスムーズに進行するよう導くことが審判の使命です。
しかし、初めて主審を務める保護者の方々は、「どのタイミングで笛を吹くべきか」「選手にどう説明すればいいのか」といった疑問や不安を抱えることが少なくありません。そこで本記事では、主審として試合を適切に運営するための流れをまずは試合前にフォーカスして詳しく解説していきます。
試合開始前の確認事項と円滑な運営のコツ

試合の成功は準備段階から始まります。主審は、試合開始前に必要な確認を行い、副審と連携を取ることで、スムーズな試合運営を実現できます。ここでは、試合前の準備、確認事項、副審との打ち合わせ、試合開始直前の流れについて詳しく解説します。
試合前の確認事項
主審は試合開始30分前(大会によって違うので要項を良く確認しましょう。)には本部で試合記録用紙を受け取り、大会要項を確認しておくことが重要です。
- 本部で試合記録用紙を受け取る → スコアシートや記録用紙を整理し、試合後の提出準備をしておく。
- 大会要項の確認 → 交代のルールや試合時間、特別ルールがある場合は事前に確認しておく。
- 試合時間と延長戦の有無を確認 → 試合形式を把握し、試合運営の流れを整理する。
- 試合に必要な持ち物の最終チェック → 笛、時計、コイン、審判カード、筆記用具などを確認し、忘れ物がないようにする。
ある地域大会では、本来「流しで進行」するはずの試合でしたが、副審やスタッフとの認識のズレがあり、ファウルやフリーキックのたびに時間を止める判断をしてしまいました。
さらに、ほかの審判も流したり時間を止めたりと統一されていなかったため、試合の進行が徐々に遅れ、最終的には大会全体のスケジュールが押してしまう事態に。運営側の説明が不十分だったことも影響しましたが、試合前に時間の計測方法を確認し、統一しておくことの重要性を痛感しました。

特に審判をやり始めたばかりの方は大会の要項を事前に確認をして、不明点があれば本部に質問しにいくなど、準備を万全にしておきましょう。
副審との事前打ち合わせの重要ポイント
小学生の試合では、選手がルールを十分に理解していないことも多く、試合中に判断を迷う場面が発生しがちです。そのため、主審と副審の連携を強化し、事前に判定基準を統一しておくことが非常に重要です。特に、オフサイドやファウルの基準を試合前にしっかり確認することで、試合中の混乱を防ぐことができます。
- オフサイドジャッジの統一 → ゴール前でキーパーと1対1になりそうな場面では、ボールに触れていなくてもオフサイドを取るなど。
- ファウル判定の共通認識 → どの程度の接触をファウルとするか、副審と認識を合わせる。
- ペナルティエリア内の判定 → 主審が中心に判断するが、副審の補助も活用する。
- 副審のシグナル確認 → 判定に迷った場面では、副審が旗を上げて主審の指示を待つ。

試合前に副審と十分にコミュニケーションを取ることが重要です。特に、主審を担当することにまだ慣れていない場合は、「慣れていないのでフォローをお願いします」と事前に伝えておくことで、副審との連携がスムーズになり、試合運営の安定につながります。
試合開始直前の流れと準備のチェックリスト
試合開始時間が迫る中で、審判は迅速かつ的確に準備を進めることが求められます。開始時間から逆算し、コート脇での待機、用具チェック、コイントス、選手への最終確認をスムーズに行いましょう。
試合開始まで余裕がある場合は、両チームを横に広げるセレモニー方式で挨拶を行うことで、選手がリラックスしやすくなり、試合の雰囲気をより良いものにできます。一方で、時間が差し迫っている場合は、ハーフウェイラインを挟んで2列に並び、簡潔な挨拶を行うようにしましょう。
- 両チームを呼び、副審による用具チェックを実施 → すね当て、靴の固定具、ユニフォームの確認を行う。
- キャプテンによるコイントス → 「攻めるゴール」または「キックオフ」の決定をする。
- 試合開始前の選手への指示 → 「フェアプレーで楽しく試合をしよう」と伝え、選手を試合に集中させる。
- ラインがしっかり引かれているか確認。
- ゴールネットがたるんでいないか、破れなどがないかチェック。
- ゴールポストが安全に設置されているか確認
- 副審のチェックが終了後、両チームのキーパーの準備状況を確認。
- 副審にも確認を取り、試合開始に支障がないか最終チェック。

過去に、試合開始直前の確認が不十分だったために、ゴールネットのたるみを試合開始後に指摘され、試合を一時中断したことがありました。それ以来、副審との連携を強化し、試合開始前にチェックを徹底するようになりました。試合前の細かい準備が、スムーズな試合運営につながります。
初心者審判のための試合運営体験談
試合開始直前に、コイントスの流れをスムーズに進める工夫をしたことで、試合のテンポが安定した経験があります。ある大会で、キャプテン同士がコイントスのルールを十分に理解しておらず、開始時に戸惑いが生じてしまいました。
そこで、次の試合からは、コイントスの前に「攻めるゴールかキックオフかを選ぶ」という簡単な説明を加えるようにしたところ、選手の理解が深まり、スムーズな進行につながりました。試合開始前の細かな調整が、試合全体の流れをスムーズにすることを実感した出来事でした。
まとめ:試合前の準備と連携を徹底することで円滑な試合運営を実現
試合を成功させるためには、試合前の準備と副審との連携が欠かせません。特に小学生の試合では、選手がルールに不慣れなことも多いため、主審が試合の流れをしっかりと管理し、試合前に細かい確認を徹底することが重要になります。
主審の役割を理解し、試合の流れを管理することで、試合運営が円滑になり、選手が安心してプレーできる環境を作ることができます。最初は不安かもしれませんが、試合を重ねるごとに自然と自信がついてくるでしょう。
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