私が実際に指導した高校生のケースを紹介します。地区大会の準決勝で、彼はゴール前でパスミスをしてしまい、試合後はベンチで涙を流していました。帰り道、彼と一緒にコンビニで温かい飲み物を買いながら、「なぜあの場面で焦ったのか」を一緒にノートに書き出しました。
彼は「相手DFの声に動揺した」「味方の位置を確認できていなかった」と自分の言葉で記録。その後、彼自身がスマホで試合映像を見返し、「パスを出す前に3秒間、周囲を確認する」「守備時は必ず声を出す」と具体策を自分で考え、私もポジション練習や声掛けトレーニングを追加。
次の大会では、彼が落ち着いてパスをつなぎ、決勝ゴールの起点となりました。ノートの力で自信を取り戻した瞬間でした。
選手たちにとってノートは、振り返りと目標設定を具体化するツールであり、それが「結果」を生むプロセスにつながります。本記事では、ノートを活用して成長を遂げた選手たちの具体的なエピソードを交え、その魅力と実践方法を掘り下げていきます。
サッカーノートの効果と活用方法
サッカーノートの基本と実践例

サッカーノートは、私が20年以上の指導経験の中で最も効果を感じている成長ツールです。たとえば、指導していた中学生のエイタ君は、毎回の練習後に「今日の気づき」「次に意識すること」を自分の言葉で書き残していました。
ある日、「右サイドでフリーの時間が長い」と気づき、次の練習でそのスペースを意識して動くようにした結果、公式戦で初めてアシストを記録。ノートが彼の戦術眼を育てたのです。

ノートには「試合前の自分の気持ち」と「試合後の達成感」を並べて記録することで、心の変化を可視化し、プレッシャーに強くなる工夫ができます。
戦術の理解を深める方法については、こちらの記事をご覧ください。
サッカーノートで学びを深める理由

ノートに記録することで、プレーの感覚が単なる「直感」から「論理的な学び」へと変化します。過去に指導した高校生が、ノートを使い「1試合の中で自分がボールを触る回数」を数えた結果、自分の関わりが少ないエリアに課題を発見しました。その後の試合では中央エリアへのポジショニングを意識し、攻守の要として活躍しました。

記録の中に「どの場面で相手の動きに気づけたか」を書き込むと、次回の試合で相手の動きを読む力が鍛えられます。
記録を活用してプレーの感覚を論理的に整理する方法や、選手の成長を促すヒントについては、親や周囲の協力が重要であることを説明したこちらの記事がおすすめです。
サッカーノートで成果を出した例

全国大会に出場した選手のユウタ君(仮名)は、ノートに「自分のドリブルで抜ける場面」と「抜けない場面」の違いを具体的に記録しました。この分析に基づいてドリブル技術の細部を練習し、トーナメントでは相手DFを3人かわしてゴールを決めるなど、目覚ましい結果を残しました。
ノートを活用することで、自分のプレーを「見える化」する力が重要だと感じています。

試合で成功した技術や戦略を「マンガのコマ割り風」に記録することで、楽しく復習ができ、記憶に残りやすくなります。
サッカーノートの使い方とコツ
試合後の振り返りでスキル向上
試合直後に感情が生々しいうちにノートを開く選手が多いです。その時、「なぜ成功したのか?」を考えることで次の成功に繋げます。例えば、ミスが多いと感じた選手が「焦りから早いタイミングでパスを出してしまった」とノートに書き出しました。
そこで私は、「次は相手を見る時間を1秒長く取ろう」という具体的な提案を行い、それを試合に取り入れることで落ち着いたプレーが実現しました。

振り返りには「次回意識する行動」を1つだけ大きく書くと、試合中に自然と目標が浮かび、迷いが減ります。
緊張を力に変える準備法はこちらの記事で詳しく学べます。
練習成果を引き出す記録術

選手たちがよく記録するのは、練習メニューだけでなく「どのタイミングで成功したのか、なぜそれが成功したのか」です。私のチームでは、練習後に「今日一番うまくいったこと」を必ずノートに書くルールを作りました。
ある日、小学生のリョウタ君が「フェイントで相手を抜けたのは、左足にしっかり体重を乗せたから」と記録。それを見た私は、次の練習で彼に「左足を意識したフェイント練習」を提案。すると試合で2ゴールを決め、自信満々の笑顔を見せてくれました。

練習の「開始時の精度」と「終了時の精度」を比較記録すると、自分の成長曲線を直感的に把握できます。
効果的なボールタッチ練習法を解説した記事はこちらです。
サッカーノートで目標を達成する方法
「1年後にこのポジションでレギュラーを取る」といった長期目標は、選手の成長を可視化します。特に小学生のユキ君(仮名)は、「1か月ごとに達成したい小さな目標」をノートに分けて記載しました。
達成するたびに「次はこれを」とモチベーションが上がり、半年でスタメンを勝ち取るまでに成長しました。このプロセスでは、目標ごとに私がアドバイスを行い、細かな指針を与えました。

長期目標は「未来の自分からのメッセージ」の形式で書くと、モチベーションがぐっと高まります。
サッカーノート作成の具体的なポイント
ノート記録を継続するための工夫
「忙しいと書けない」という選手には、私は「たった1行でいいから書こう」と伝えます。その結果、1行の中から「今日はこれがよかった」と成功体験が生まれ、選手が毎日振り返りを続けられるようになりました。
たとえば、ある選手が「今日はシュートがポストに当たって悔しかった」とだけ記録しましたが、その悔しさをバネに次回の試合で決勝点を決めたケースもあります。

記録が途絶えた日には「その日一番楽しかったこと」を書き足し、ノートをポジティブに保ち続ける工夫を。
親とコーチの連携で記録を支援
親御さんには、選手がノートをつけたときに「どんなことを書いたの?」と質問してもらうよう提案しました。これにより、選手が家族と自分の成長を共有できるようになります。
また、ノートに目を通した親御さんが「成長したね」と声を掛けることで、子どもたちは次の挑戦にも意欲を見せるようになります。コーチとしては、ノートをもとに具体的なフィードバックをすることで選手のやる気を引き出します。

親が選手のノートに「がんばったね!」と短い一言コメントを残すだけで、次の練習への励みになります。
子どもたちが楽しむノート活用法

ノートの表紙を自分でデザインしたり、目標達成時にはシールを貼るようにしたりすることで、楽しみながら続けられる環境を提供しました。
特に、選手が「今日の自分を褒めるページ」を作り、「今日一番頑張ったこと」を記録するようにしたところ、練習への取り組み方がポジティブになった事例があります。

毎月のノートページに「達成スタンプカード」を追加し、目標達成ごとにスタンプを押すと楽しみながら続けられます。
子どもたちがスキルアップを楽しみながら続ける方法はこちらの記事が参考になります。
体験談
私が印象に残っているのは、タカヤ君(仮名)という中学生のエピソードです。彼は公式戦になると、いつも手が震え、前半はパスミスが続きました。
ある試合後、グラウンドの隅で一緒に座り、「どの瞬間に一番緊張した?」と聞くと、彼は「相手DFが大声で指示を出してきた時」「ゴール前で味方の期待を感じた時」と、具体的にノートに書き始めました。その後、毎試合後に「緊張した場面」と「その時にできたこと」を書くようにアドバイス。
彼は徐々に「緊張してもパスは通せた」「声を出して気持ちを落ち着かせた」と記録し、最終的には地区大会でアシストを決めるまでに成長しました。
まとめ
私自身、これまで100人以上の選手とサッカーノートを活用してきました。その中で感じたのは、「自分の言葉で課題や成功体験を書き残すこと」が、選手の成長を何倍にも加速させるということです。
親御さんやコーチが温かく見守り、時には一緒にノートを振り返ることで、子どもたちは自信とやる気を持ってサッカーに取り組むようになります。あなたもぜひ、今日からオリジナルのサッカーノートを始めてみてください。きっと、今まで気づかなかった自分の可能性に出会えるはずです。
コメント