【この記事は、現場指導と家庭サポート歴20年超のHIRO★BUが「本当に現場で役立った/悩んだ/救われた」体験だけで書いています。】
数年前の冬、埼玉県でのU-16公式戦。私たちのチームはこれまで短いパスでポゼッションを維持するスタイルに重点を置いていました。しかし、相手ディフェンスのプレスが強まり、攻撃が行き詰まる場面が続きました。
そのとき、ミッドフィルダーのショウタ君が見せたのが、2軸キックの習得による新しい攻撃展開でした。ディフェンスラインが絞った瞬間、ショウタ君は冷静に判断し、強いインパクトで逆サイドへロングパスを放ちました。
そのキックはプレスを軽々と超え、正確にサイドバックのケンタ君の足元に届きました。これにより、相手の守備ラインを大きく崩し、結果的に試合を動かすゴールチャンスを生み出しました。
試合後、ショウタ君は「2軸キックを覚えたおかげで、これまで届かなかった距離に強く正確なボールを蹴れるようになりました」と自信に満ちた笑顔を見せました。他の選手たちも彼のプレーを目の当たりにし、「自分ももっと練習しよう!」と意欲を高めていました。
この成功体験は、チーム全体に2軸キックの価値を共有し、ポゼッションスタイルだけでなく、試合状況に応じた多様な戦術の重要性を再確認させる機会となりました。
2軸キックがチーム全体に浸透すると、試合の戦術に新しい可能性が生まれます。この技術の特長は、インパクトの瞬間に蹴り足に重心をしっかり乗せることで、これまで届かなかった距離に正確で力強いキックを届けられる点です。応用編では、2軸キックを試合状況にどう活かすかを掘り下げていきます。
2軸キックの練習法と実践例の紹介
段階的なフォーム練習で基礎を固める方法
フォーム練習は2軸キックの基礎を固め、さらに応用へと進むための重要なステップです。重心移動を意識した練習では、まず片足立ちで蹴り足への重心移動を体感し、徐々に助走を加えたフォームの流れを身につけます。スロー練習を取り入れることで、正確なインパクトを確認しながら進めることができます。
リクの挑戦と“ばね”の感覚
U-15のグループ練習で、ディフェンダーのリクがこの段階的な練習に取り組んでいました。彼は真面目で努力家ですが、動きが硬く、重心移動のタイミングがうまく掴めずに悩んでいました。
「コーチ、動きが速すぎて重心がずれます…」
彼の言葉に、私は「助走をさらに短くして、力を集中させるポイントを意識してみよう」とアドバイス。フォームのばねを活かすため、実際に手本を見せながら指導を重ねました。
その日の夜、リクは自宅で兄と話していたそうです。兄は高校時代にセンターバックとして活躍していた経験があり、リクにとっては技術面でも精神面でも頼れる存在です。
「今日の練習、ばねを使えって言われたんだけど、正直よく分からなくて…」
「ばねってのは、力を溜めて一気に解放する感覚だよ。蹴る前に沈んで、蹴る瞬間に跳ねる。ジャンプと同じだ」
兄はリクに、部屋の中で軽くジャンプする動作を繰り返させながら、「この感覚をキックに繋げてみろ」とアドバイス。スマホで動画を撮りながらフォームを確認し、リク自身も「この動き、キックに近いかも」と少しずつ感覚を掴んでいきました。
翌日の練習では、リクがばねを意識したフォームで2ステップの重心移動を試みました。最初はタイミングが合わず苦戦していましたが、チームメイトのショウタが「リク、蹴る前にちょっと沈んでみろ。俺もそれで変わった」と声をかけ、2人でリズムを合わせる練習を始めました。
練習終盤、リクは絶妙なタイミングで重心を移動させた2軸キックを成功させ、遠くのサイドバックへと精確なパスを通しました。ベンチからは「リク、すごいじゃん!」という声が上がり、リクも「兄貴のジャンプ理論、効いたかも」と笑顔を見せてくれました。

今日のキック、見事だったな。何か掴んだか?

はい。兄貴にジャンプの動きとキックの感覚が似てるって言われて、試してみたんです。沈んで、跳ねる。それがばねなんですね。

その感覚、まさに2軸キックの核だよ。力を溜めて、重心を移して、一気に解放する。それができれば、どんなプレッシャーでも蹴り負けないね。

ショウタにも助けられました。リズム合わせてくれて、タイミングが分かってきました。
- 全身のばねと重心移動の活用の重要性: 全身のばねを使い、短いリズムで重心を素早く移動させることで、プレッシャー下でも強力なキックを可能にする。
- 段階的な指導による技術向上: 基礎的なフォーム練習から応用練習に進むことで、選手が自信を持って実践に活用できるスキルを段階的に習得できる。
- 成功体験が選手間の意欲を刺激: 個々の成功例がチーム全体の士気を高め、他の選手たちも技術習得に前向きになる好循環を生む。
フィールド練習で戦術応用を磨く手法
実践的なフィールド練習では、2軸キックを試合形式で活用する練習を重ねることで、選手たちがより現実的な判断力を磨きます。逆サイドへのロングパスやプレスをかわすキックなど、試合を想定した具体的なシチュエーションがポイントです。
ケンジの挑戦と“逆サイドを狙う目”
埼玉県の屋外グラウンド。U-16の午後練習では、2軸キックを試合形式で活用する応用練習を中心に据えました。テーマは「守備の隙を突くロングパス」。選手たちには、相手のプレスを想定しながら、逆サイドへの展開を狙うシチュエーションを設定しました。
この練習で注目を集めたのが、ディフェンダーのケンジでした。彼は短距離のパスには定評がありましたが、ロングパスになると途端に自信を失ってしまうタイプ。練習開始直後、彼のキックは力不足で相手の守備陣にカットされる場面が続きました。
「コーチ、蹴ってるつもりなんですけど、届かないんです…」
彼の言葉に、私は「インパクトの瞬間に、蹴り足へ重心を完全に移動させるイメージを持ってみよう」と伝えました。さらに、ボールの軌道を安定させるために、蹴る角度と振り抜くタイミングを細かく指導。ケンジは真剣に耳を傾けながら、何度もフォームを確認していました。
その日の夜、ケンジはチームメイトのユウタとメッセージを交わしていたそうです。
「今日の練習、マジで悔しかった。ロングパス、全然通らなかった」 「でもさ、コーチの言ってた“重心の乗せ方”、俺も最初できなかったよ。明日、助走合わせてみようぜ」
翌日の練習では、ユウタがケンジの助走に合わせて走り出すタイミングを調整。2人でリズムを合わせることで、ケンジのキックに“狙い”が生まれました。
そして数回目のトライ。ケンジは助走のテンポを整え、蹴り足に重心を乗せて振り抜きました。ボールは美しい弧を描き、逆サイドのウィングへと一直線。グラウンドには「ナイスパス!」の声が響き渡り、ケンジは満面の笑みで私の方を振り返りました。
「コーチ、やっと思い通りのボールが蹴れました!」その瞬間、彼の表情には自信と達成感が溢れていました。

コーチ、今日のパス、やっと“乗った”感じがしました!

見てたぞ。逆サイドまで一直線だったな。何を変えた?

重心です。蹴る瞬間に、ちゃんと蹴り足に乗せたら、ボールが伸びました。

それが2軸キックの醍醐味だ。フォームだけじゃなく、タイミングもバッチリだった!
- 重心移動とタイミングの重要性: 蹴り足への重心移動を正確なタイミングで行うことで、力強く正確なロングパスが可能になる。
- 具体的なシチュエーション練習の効果: 試合を想定したシナリオを設定することで、選手が現実的な判断力を磨き、実戦に直結する技術を習得できる。
試合での2軸キック活用と注意点
試合で2軸キックを活用するには、シチュエーションに応じた判断力が求められます。この技術は、蹴り足に重心を移動させて力強いキックを放つのに適していますが、例えばサイドを駆け上がりながら素早くボールをセンタリングする場合や、ボールを曲げて蹴る「巻くボール」にはあまり向いていません。
そのため、使い分けが重要です。試合中の判断力とプレーの選択肢を広げることが、この技術の効果を最大限に引き出すポイントです。
リョウの“使い分け”に気づいた瞬間
数年前の春、埼玉県内のトレーニングマッチ中、ウィングのリョウ君が2軸キックの使いどころを掴み始める場面がありました。試合では、彼がサイドを直線で駆け上がりながらセンタリングを試みるシーンが何度もありましたが、その際に2軸キックを使用しようとして、思うような場所にボールが届かない状況が続いていました。
練習後、リョウ君と振り返りを行い、「サイドでの素早いセンタリングや巻きのボールでは、従来のキックが適している場合も多いよ。でも、逆に2軸キックは、守備ラインを超える力強いロングパスやゴール前への鋭いラストパスで活きてくるね」と具体的なアドバイスを伝えました。
その後、シチュエーション別にキックを使い分ける練習を取り入れ、短いセンタリング練習や、逆に守備ラインを超えるロングパスの練習を交互に行いました。
その結果、リョウ君は次の試合で見事にシチュエーションに応じたキックを使い分け、守備ラインの背後へと見事なロングパスを通しました。このキックがゴールに繋がった瞬間、チーム全員がリョウ君を称賛し、「2軸キック、完璧だった!」という声が飛び交いました。
リョウ君自身も「正しいタイミングで使えば、本当に試合を変えられる技術ですね!」と自信を深めた様子でした。
- 2軸キックの適性を理解する重要性: サイド駆け上がりのセンタリングや巻くボールには不向きであるが、守備ラインを超えるロングパスや鋭いラストパスには非常に効果的であることを理解し、使い分ける必要がある。
まとめ:2軸キック練習の成果とチーム戦術への影響
2軸キックの応用練習で広がる可能性 2軸キックの応用練習は、技術を試合で活かすための重要なステップです。重心移動を基盤にしたフォーム、距離と精度の向上を目指すフィールド練習、そして試合を想定した実践力の鍛錬が欠かせません。
日々の練習を通じて、この技術を完全に習得することで、プレーヤーとしての成長だけでなく、チーム全体の攻撃力を飛躍的に向上させることが可能になります!
このページは、“現場で何度も壁にぶつかり、子どもや家族と一緒に悩みながら乗り越えた”からこそ書けた本音記事です。
「同じ悩みでふさぎ込んだ方も、必ず前に進めます」-そんな“救い”や“きっかけ”づくりとして役立つことを願っています。



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