サッカー指導を初めて担う瞬間は、楽しさとチャレンジが詰まった冒険です。本記事では、20年以上にわたり築き上げてきた「信頼と楽しさ」を基盤とした指導法を、成功例を交えながらわかりやすく解説します。
小学生の少年団では、クラブチームとは異なり、一人ひとりの意欲や成長速度に大きな差があります。この多様な環境の中で、いかにして信頼関係を構築し、楽しさを共有しながら技術向上を実現するのか?そのヒントをたっぷり詰め込みました。ぜひお役立てください。
初心者コーチ向け楽しい指導法
サッカー少年団では、多くのお父さんが未経験ながらコーチとして奮闘する姿が見られます。私自身も息子のチームでコーチを引き受けた際、右も左も分からず戸惑いながらスタートしました。最初は練習メニューの作り方すら分からず、インターネットや書籍で調べては試行錯誤の日々でした。

多様性を理解するポイント
サッカー少年団に集まる子どもたちは、スキルや意欲に大きな差があります。「友達に誘われたから」「体験練習が楽しかったから」などの理由で参加している子も少なくありません。こうした子どもたちには、「楽しそう」「もっとやりたい」という気持ちを引き出す指導が欠かせません。
柔軟な指導と笑顔あふれる環境
子どもたちの成長を最大限に引き出すためには、その日のコンディションや気分に応じて柔軟に練習メニューを変更すること、そして笑顔で取り組める楽しい環境を作ることが大切です。指導者の柔軟性と創意工夫が、技術向上だけでなく、子どもたちのモチベーションを大きく左右します。
柔軟な指導の実践ポイント
笑顔がもたらす成長効果


期待した成果がでないことがほとんど。まずは一緒に楽しむということが大事です。私の経験からすると、1つの練習を15分以上やっていると集中力がなくなってしまいます。
1時間あたり、4つの練習が必要だと考えると、ミニゲームなどもいれて8個くらいの練習メニューを常にストックしておく必要があります。
小学2年生の練習で、最初は一列に並び順番にドリブル練習を行っていました。しかし、待ち時間が長くなるにつれ、子どもたちの顔に疲れや退屈の色が見え始めました。そこで私は声を上げました。「よし、しっぽ取りゲームを始めるぞ!みんな準備して!」と。
子どもたちは腰にビブスをつけ、笑顔で「しっぽ取り」に挑戦し始めました。開始後すぐに、全員が夢中になり、声を出し合いながら楽しむ姿が見られました。ゲーム終了後、「もっとやりたい!」と次々にリクエストが上がる中で、チーム全体が一体感を取り戻しました。
このようにその場の柔軟な対応が、単なる練習を「楽しい学び」に変え、子どもたちのモチベーションを引き出した瞬間でした。
しっぽ取りゲームの詳細はこちらで詳しく解説しております。全体練習メニュー
子どもたちと信頼を築く方法
シンプルな言葉で伝える
小学1・2年生の子どもたちはまだ難しい言葉を理解しにくいため、伝え方をシンプルでわかりやすい言葉にすることが非常に重要です。この年齢の子どもたちは、本能的に動くことが多く、感情に基づいた言葉が特に効果的です。
こうした特徴を理解し、感情をくすぐるような言葉や表現を使うと、子どもたちは楽しみながら練習に集中できます。特に短く、楽しいニュアンスを含んだ指示が効果的です。
ポジティブな声かけを意識
指導では、否定的な言葉を避けることが大切です。ポジティブな声かけを積極的に取り入れることで、子どもたちの自信と意欲を引き出し、サッカーへの興味や楽しさを広げることができます。
ポジティブな声かけの例
特に低学年では、こうした声かけを繰り返すことで、自信をつけさせ、サッカーが好きになるきっかけを作ることができます。
子どもの本能を引き出す指導
子どもたちは本能的に反応するので、感情に響く言葉を使うのも効果的です。「お城を守るぞ!」や「モンスターからボールを守ろう!」といった物語風の表現を使うと、夢中で練習に取り組む姿が見られます。
練習中に難しい言葉が通じない場面では、伝え方を工夫するだけで子どもたちの反応が大きく変わります。シンプルな指示やゲーム感覚の要素を取り入れることで、子どもたちが自然と楽しみながら技術を身につける環境を作り出しましょう。
効果を高める練習の工夫
サッカーの練習を効果的に進めるには、子どもたちと「約束事」を決めたり、各練習の「目的」をしっかり伝えることが重要です。シンプルな約束事で練習全体の方向性を統一し、各練習の目的を共有することで、子どもたちはより積極的に取り組むようになります。
本記事では、具体的な約束事の設定や、目的を伝える方法について、エピソードを交えながら解説します。

練習の時間を大切に伝える
1週間でサッカーの練習に使える時間はわずか4~6時間。この貴重な時間を最大限に活用するには、子どもたちと「この時間を一生懸命に使おう」という意識を共有することが大切です。
時間の価値を伝える工夫
こうすることで、子どもたちが時間の重要性を実感しながら、ポジティブな意識で練習に取り組む環境を作り出せます。
小学生のチームを指導していた際、練習前に「今日の練習を全力でやるために、みんなで誓いを立てよう」と話しました。この取り組みを続けると、毎回子どもたちから「全力でやります!」という返答が返ってくるようになり、練習の雰囲気が大きく変わった経験があります。
提案を取り入れて楽しむ
「やりたくない」と感じる状況では、練習を工夫することで楽しさを引き出せます。例えば「代わりに何がやりたい?」と提案を促すことで、子どもたちの意見を取り入れた環境を作ることができます。このように、積極的な提案を活かした指導は柔軟性を高め、練習がスムーズに進む秘訣となります。
6年生の練習で、ゴールキーパー練習を嫌がる子どもがいました。「自分がやりたい練習は何?」と問いかけると、「フリーキックの練習がしたい!」という意見が。
そこでフリーキック練習を少し取り入れ、その後にキーパー練習もやる流れに変更したところ、最後には笑顔で両方の練習に参加する姿が見られました。
繰り返してルールを浸透させる
最初のうちは、決めた約束事を子どもたちが忘れてしまうことがあります。しかし、繰り返し伝え、具体例を挙げることで約束事が自然と浸透していきます。約束を守る習慣が身につくと、子どもたちは練習に対して責任感を持ち、積極的な行動をするようになります。

「サッカーは短い時間だからこそ全力で楽しむスポーツ」というメッセージを伝えるために、「今日の目標」を約束のほかに毎回設定していました。例えば、「今日は全員でリフティングを5回成功させよう!」など、小さな目標設定がモチベーションアップにつながります。
毎回練習の始まりに「今日の約束は何だっけ?」と全員に問いかけ、声に出して言わせるようにしています。この取り組みを続けた結果、子どもたちが自発的に「まずやってみよう!」と声に出すようになり、約束を守る意識が自然と育まれました。
こうした自主的な行動が見られると、練習全体の雰囲気が大きく向上します。
目的が伝わる指導法
練習メニューをこなすだけでは、子どもたちの意欲や成長を最大限に引き出すことはできません。練習を始める前に「なぜこの練習をするのか」を明確に伝えることで、子どもたちは練習の意義を理解し、モチベーションを高めます。
目的が明確になると、練習を単なる作業ではなく、達成したい目標に向けたステップと捉えることができます。
目的を伝えるメリット
楽しく理解できる工夫
練習の目的を子どもたちに楽しく伝えることで、意欲を高めることができます。子どもたちが具体的な成果をイメージできるような説明をすることで、試合での成功体験につながる取り組み方が可能になります。以下は具体的なポイントです。
目的がやる気に変わる成功例
低学年の子どもたちにパス練習を指導していたときのことです。最初は「なんでこんなことをやるの?」という声がありました。そこで、「パスが上手くなると、試合中に仲間ともっと連携できて、ゴールを決めるチャンスが増えるよ!」と伝えたところ、子どもたちの目が輝き始めました。
練習後のミニゲームでは、普段はシュートばかり狙っていた子が「仲間にパスを出したらゴールが決まった!」と喜び、自分たちのプレーに自信をつけるきっかけになったのです。

練習をスムーズに進めるには、簡単で覚えやすい約束事を設定することが重要です。基本のルールを徹底し、徐々に新しいルールを追加することで、自然な行動と成長を促せます。
- シンプルなルールを徹底:「ボールを取られたら仲間にパスコースを作る」など、短く具体的な指示を設定。
- 繰り返しで定着:繰り返すことで子どもたちの行動に自然と根付かせます。
- 状況に応じて追加:基本が定着したら、新しいルールを導入し成長をサポートします。
最後に
ぜひ、この記事で紹介したアイデアを少しずつ取り入れてみてください。きっと子どもたちとの信頼関係が深まり、指導の楽しさも実感できるはずです。未来の練習を思い描きながら、次のセッションを楽しみましょう!
コメント